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鉄血のオルフェンズ 三日月夢

第1章 出会い


雪之烝は駆動部から顔を上げると深い溜め息を吐いた。心配そうに見つめる三日月に頷いて腰に手を当て天を仰ぐ。
「本格的にMSの専門家が必要になってきたな」
「そうだね」
三日月も度重なる戦闘で疲弊した相棒バルバトスを見上げて力なく呟いた。
とは言うものの今時MSを扱える整備士など軍部にいるのがほとんどであり、ましてギリギリの経営と苛烈な戦闘が続いている鉄華団で働きたいなどと言う変人はそうはいないだろう。
町に出たもののあてもなく自分の最低限の買い物だけすると裏路地に入る。治安が悪くても人混みよりマシだし、チンピラに絡まれたところで負ける気はしない。しかし角を曲がったところで人にぶつかったのは気を抜いていたからではなく彼女が思わぬ軌道を描いて走ってきたからだ。
「わっ!」
激突した反動で後方に倒れそうになるのをとうもろこし畑のときのように腕を掴んで引き寄せる。
身長は三日月のほうが低いが少女一人持ち上げるだけの腕力はある。少女は驚いた顔をして、それからにかっと笑った。
「ありがとう、ごめんね。撒くのを気にしすぎて、前方の予測が疎かだった」
「まく?」
うん、と大きく頷くのを見るのと同時に掴んだままの腕を引いて自分の後ろに隠すと武骨な腕が空を掴んだ。
「あ!?」
「……なに、あんたら」
いかにもチンピラといった男たちを睨み付ける。
「テメェこそ何だ!?」
「オレたちはそこの娘に用があるんだ」
「わたしは悪いことはしないって言ったでしょ!」
「悪いこと……」
その言葉を拾った三日月の行動は早かった。
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