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【進撃の巨人】 never ending dream R18

第23章 咽び泣く~決意~●


「当たり前じゃないですかっ!?」



分かりきった事を聞かないでくれとでも言いたげに、エレンは苛立ちを含んだ声を出す。

しかし、サラはそんなエレンの言葉に答える事はなく、腕を組みながら、ただじっとエレンの瞳を見つめ続けていた。





ランプの炎がわずかに照らす、エレンの大きな緑色の瞳。



その瞳には、どんなに力で押さえようとも、どんな檻に閉じ込めようとも、決して服従させる事の出来ない強い意志が宿っているのだと、サラは思う。

そしてそれは、時に己をも滅ぼしてしまうほどの危うさがある。



自らの命を燃やし続け、自ら破滅へと向かってしまうのであろう…。



まだ15歳という未熟な少年に、“死に急ぐ”ような事はさせたくないと、鋭い表情を浮かべているエレンの頬に、サラはそっと手を伸ばした。





「エレン…敵を憎むな。
判断が鈍るだろ?

冷静ではない判断から導き出した“答え”は、自分ばかりか他人までをも危険に晒す事になる。」



そう言いながら、サラはエレンの頬にそっと触れた。



「…団長?」と、戸惑いを見せるエレンの瞳からは、先ほどまでの鋭さが徐々に失われ、まるで捨てられた子犬のような表情が姿を現す。



そんなエレンの頬を、サラは両手で包み込んだ。



わずかに顔を紅潮させ、エレンは恥ずかしそうにうつむいてしまった。





「…なんて、偉そうな事を言っているが、私も巨人が憎くて仕方ない。

ただ…憎しみだけを糧に、戦えるような相手でもない。

エレン、感情に流されるな。
自分が今、何をすべきか考えろ。

私達には、君が必要なんだ。」



「…はい、団長…。」





すっかりと大人しくなってしまったエレンの姿に、サラはなぜか弟を思い出していた。

いつも笑顔で、いつも輪の中心にいた弟。

もし、この世界に巨人が存在しなければ、弟はきっと兵士になどならず、普通の青年へと成長していたに違いない。



そしてそれは、目の前にいるエレンも同じ事。



サラはうつむくエレンの額に、そっと優しいキスをした。





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