【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
「…いいえ。
俺はまだ、この力をどうしたらいいのか分からないままなんですが…。
それでも、何とかしないといけないと…思うんです。
何が何でも、この力を支配しなければと
…そう、思うんです。
そして…」
「“とにかく、巨人をぶっ殺したい。”か?」
「はい。
一匹残らず…。」
そう答えるエレンの瞳には、獲物を射抜くかのような恐ろしいほどの鋭さがあった。
先ほどまでの、捨てられた子犬のような表情を浮かべていた少年とは到底思えない。
そこまで彼をかき立てるもの…それは5年前、ウォール・マリアが突破されたあの日、目の前で巨人に食われてしまった母親の存在だろう。
特別兵法会議の場で提出されたエレンの過去に関する資料。
あの日エレンは、自身の故郷であるシガンシナ区にて、突如現れた超大型巨人により、壁門が破壊される瞬間を目撃していた。
母親を巨人に食われ、父親であるイェーガー医師は、エレンに自宅地下室の鍵を託したのちに行方不明。
帰る場所を失ったエレンは、同じくシガンシナ区出身のミカサ・アッカーマン、アルミン・アルレルトと共に12歳までの2年間を開拓地で過ごし、訓練兵団へと入団した。
巨人の脅威を目の当たりにしながらも、彼は自ら戦う事を選んだ。
彼の瞳に宿る牙は、やはり本物なのだと、サラは唇を噛み締めるエレンの横顔を見つめながら思った。
「巨人を…殺したいです。
一匹残らず…。
駆逐してやると…そう、誓ったんです。」
まるでうわ言のようにつぶやくエレンに、サラはそっと問い掛ける。
「君は…巨人が憎いか?」
突然のサラの言葉に、エレンは驚き、瞳を大きく見開いた。