【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
「旧調査兵団本部。
50年前までは実際に使われていたそうだよ。
この大きな古城が、君を囲っておくには最適な物件になるなんてな。
どうして調査兵団本部の地下に牢屋があるのか不思議だろ?
兵団内で起きた事件は民間と同じように、憲兵団の介入が義務付けられている。
憲兵団に引き渡すまでの“留置所”と言ったほうが正しいだろう。
しかし、犯罪らしい犯罪がほとんど無かったという調査兵団では、小さな“もめ事”であれば、兵団内で解決したそうだ。
この牢屋も、酔っぱらいの酔い覚ましに使われていた程度だ。
もちろん、現在の調査兵団本部にも地下牢はある。
いつだったか…私も酔っぱらったゲルガーを閉じ込めた事があったよ。」
そう淡々と話すサラに、エレンは「ハハハ…。」と、力無く笑う。
きっと聞きたいのはこんな話ではないのだろう。
もちろん、サラもこんな他愛もない話をしに来た訳ではない。
サラは、ふぅと深くため息をつくと、脚を組み直し、真剣な眼差しでエレンを見つめた。
「1ヶ月後…今季卒業の新兵を混じえての大規模な壁外調査を行う予定だ。
もちろん、君にも参加してもらう。
今回の壁外調査は、君をシガンシナ区へと送るための“試運転”というところだ。
とりあえずは、行って帰って来る事…それが目標だ。」
「“行って帰って来る事”…ですか…。」
サラの言葉に、エレンは拍子抜けしたような表情を浮かべた。
「“巨人の力を駆使し、ウォール・マリアを奪還しろ”と、言われるとでも思っていたか?」
「はい…。
次回の壁外調査で、俺が人類にとって“有意義”な存在であることを証明しなければいけない…。
それが…俺が調査兵団へ入団する事の条件であったはずです…。」
そう、うつむくエレンへ、サラは問い掛ける。
「では聞くが、君は今現在、自身の持つ“巨人の力”を完璧に操る事が出来るのか?」