【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
「エレン、君と話がしたい。
側に行ってもいいか?」
そう言うとサラは、先ほどエルドから預かった鍵を使い、牢屋の扉を開けて中へと入る。
鉄格子を通してでも話は出来るのだが、どうしてもそんな気になどなれなかった。
本人にとっては不安が募るばかりであろうこの時に、少しでもエレンの心へと寄り添いたい。
そう、サラは思っていた。
牢屋の中には木製のベッドが1台置かれており、その横にある棚の上では、まっすぐと伸びたランプの炎が頼りない明かりを放っている。
「座らせてもらっても構わないか?」
サラは、先ほどまでエレンが横になっていたであろうベッドへと腰を下ろす。
どうしていいのか分からずに、ただ立ちつくしているエレンへ向け、サラは穏やかに微笑んだ。
「君も、座りなさい。」
サラの言葉に、エレンは少し上ずったような返事をし、慌てたようにサラの横へ少しの距離を保って腰を下ろした。
その姿が妙に幼く思え、サラはエレンの横顔を見つめながら、ふふっと小さく笑う。
「もしかして、君は緊張しているのか?」
サラの問い掛けに、エレンはまるで悪戯がばれてしまった子供のような表情を浮かべた。
「きっ…緊張しない訳ないじゃないですか?
調査兵団実行部隊のトップである貴女と…こうして…。」
「こうして…何だ?」と、思わず尋ねたくなる気持ちを抑え、「突然やって来てすまなかった。」と、サラは笑った。
兵士とはいえども、まだ15歳の少年だ。
女性と暗がりの中、こうしてベッドに座っているのだから、良からぬ事を想像し、動揺するのは当然であろう。
拳を握りしめ、身体を硬直させているエレンを、サラは柔らかな表情で見つめた。