【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
すっかりと日が落ちてしまったせいなのか、薄暗い古城の中は廃墟特有の雰囲気が漂っていた。
しかし、久しく使われていなかった建物にしては綺麗に片付けられており、床にはゴミ1つ落ちていない。
“掃除好き”のリヴァイの事だ。
きっと1日がかりで大掃除をしたに違いないと、サラは手持ちランプの明かりを頼りに、地下へと続く扉の鍵を開けた。
こんな場所へエレンを隔離しなければならない事に、何も感じていないわけではない。
自分自身の力を掌握出来ずにいるエレン。
もし、エレンが不意に巨人化してしまった場合、すぐさま拘束出来るだろうということから、この古城の地下が選ばれた。
これも、エレンの身柄を手にする際に提示された条件の1つ。
守るべきルールだ。
地下へと続く階段を下る。
暗闇の中、石畳の廊下の奥に、ぼんやりと灯る明かりが見えた。
奥へと進むにつれ、カビ臭さが鼻をつく。
兵士とはいえども、まだ幼さの残る15歳の少年をこんな場所に閉じ込めておかなくてはならないなんてと、何ともいたたまれない気持ちがサラの胸を襲った。
弟も…あの時は確か15歳だった。
そんな事を考えていた。
「エレン、休んでいるところすまない。
私だ。様子を見に来た。」
ぼんやりと灯る明かりへ向かい、サラはそう声を掛ける。
ギィとベッドの軋む音がし、しばらくすると、錆び付いた鉄格子の隙間からひょっこりとエレンが顔をのぞかせた。
「…団長?」
「起こしてしまったか?」
「いいえ。
なかなか寝付けなくて…。」
突然のサラの来訪に、エレンは少し驚いた様子を見せるが、その顔はどこか安心した表情にも見えた。
自分自身の力を掌握する術も分からずに、夜が訪れる度に暗い地下牢で眠る事を強いられる毎日。
身を乗り出すように鉄格子からこちらを見つめているエレンは、まるで捨てられた子犬のようだった。