【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
850年
「サラ団長、いらしていたんですか。」
ウォール・ローゼ内にある調査兵団本部から数十km離れた、旧調査兵団本部跡の古城。
馬を外に繋ぎ、古城へと入るサラに、そう声を掛けてきたのは特別作戦班…通称リヴァイ班のエルドだった。
「えぇ、今着いたところだ。」
「リヴァイ兵長でしたら、2階でお休みです。」
「いや、今日はエレンの様子を見に来ただけだ。」
「…そうでしたか…失礼しました。」
そう言うとエルドは胸のポケットから鍵の束を取り出し、サラへと差し出す。
「エレンは地下です。」
「あぁ、すまない。」
サラはエルドから鍵を受け取ると、エレンがいるであろう古城の地下室へと向かった。
“巨人の力”を持つ訓練兵の少年…エレン・イェーガー。
数日前、三兵団のトップであるダリス・ザックレーの下、エレンの処遇を決定する特別兵法会議が開かれた。
今後のエレンの動向を委ねるべきは、憲兵団か調査兵団か…。
“エレンの人体を徹底的に調べ上げたのち、速やかに処分すべき。”との案を提示した憲兵団に対し、“エレンを調査兵団の正式な団員として迎え入れ、巨人の力を利用し、ウォール・マリアを奪還する。”と、サラは調査兵団としての意向を示した。
リヴァイの効果的な“演出”もあってか、エレンの動向は調査兵団へと委ねられる事となったが、それにはいくつかの条件が付けられる事となった。
1つはエレンの“巨人の力”が暴走した際の対策として、リヴァイと行動を共にする事。
そしてもう1つは、1ヶ月後に控えた壁外調査において、エレンが人類にとって“有意義”な存在であることを証明する事。
しかし、その成果次第では再び、エレンの処遇が問われることとなる。