【進撃の巨人】 never ending dream R18
第23章 咽び泣く~決意~●
数ヶ月後、私は7年間暮らしたこの調査兵団本部を離れる事となった。
ウォール・ローゼ南方に位置する訓練所。
調査兵団本部からはさほど離れていない訓練所ではあったが、本部を出る以上、次に帰って来る時は調査兵になった時だと心に強く決めていた。
気がかりだったのは、弟…ではなく、私がこの調査兵団本部で生活をしていた7年間、ほとんど毎日を共に過ごしていたキースの事だった。
訓練兵団への入団が決まった日、「エルヴィンが何と言おうと、俺は認めない。」と、キースには猛反対を受けた。
「もう、決めたんだ。
私はいつまでも、団長室で本を読んでいるだけの“子供”じゃない。」
そう、告げる私の身体をきつく抱き締めながら、キースは言った。
「…お前は、大人になんかなるな。」と。
弟の事は何も心配など無かった。
私が調査兵団本部を離れる当日の朝も、弟は「友達と遊びに行ってくる。」と、元気に兵舎を飛び出していった。
毎朝、団長室へ向かう廊下で話をしたモーゼスも、「手紙くらい書けよ、ちびまゆげ。」と、私の頭をクシャクシャと撫でてくれた。
ただひとつ…心残りだったのは、クレアが死んだあの日から、同室で過ごしていながらも、口をきく事がなかったメラニーの事だった。