第9章 霧が晴れたら
山口side
あの日の翌日、早速ツッキーはめぐみと俺が住むこの家に越してきた。
口ではなにも言わなくても、きっと内心は気が気でないんだ。と、俺は思った。
めぐみと付き合っていたとき、ツッキーに会わせるかどうか迷ったり、
どうしてもふたりの距離が縮まるのを恐れていた俺には、一緒に住むことが決まってすぐに越してきたツッキーの気持ちが痛いほどわかった。
で…、今はというと…
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あの日からちょうど2週間が経ち、カレンダーが12月になるまであと10分。
一階の突き当たりにある和室のこたつに3人とも入り、各々自由に過ごしていた。
めぐみは俺の左隣で、文庫本を黙々と読んでいるし、
ツッキーはツッキーで、俺の右隣で、ココアを片手にスマホを弄ってる。
まるで、あと10分後に迎える12月1日のコトなんて忘れてしまったんじゃないかと不安になるくらい、ふたりともいつも通り過ごしている。
俺だけなのかな……?
あとちょっとで、めぐみの誕生日だって、落ち着かないのは…