第8章 ゴメンネよりも、ありがとう。
山口side
「うっ、うん。//」
俺が一緒に暮らすと言っただけなのに、あまりに嬉しそうに頬が緩みまくってるめぐみからの、突然の感謝の言葉に、思わず照れてしまう。
ツッキーだって隣にいるのに…
そう思って隣を見ると、ツッキーは呆れたような…それでいてどこか安心したような顔をしていた。
なにも突っ込まず、嫌みひとつ言わずに、ずっと俺らのやり取りを見守ってくれていたツッキー。
本当はすごく優しいコトを、俺も、めぐみも、ちゃんとわかってる。
だから、次は僕らの番だ。
めぐみも同じコトを考えているようで、思い切り視線が合った。
「ツッキーも帰ろう?」
「蛍の部屋は、一番日当たりのいい部屋にしてあげるね?」
「…山口、うるさい。めぐみも、誰の所為で寒空の下待ってなきゃいけなくなったと思ってるワケ?中に入ってからにすれば良かったのに。」
「ゴメン、ツッキー!」
「ごめんねっ、蛍。」
「絶対本気で思ってないデショ。」
呆れてるツッキーの背中を、ふたりで『せーのっ!』と小さく声を合わせながらドアの近くまで押す。
「…………」
アッ、また呆れられてる。
ま、それでもいっか。
めぐみがドアを開けてくれて、大きく開けたドアの両脇に立つ。
そして、一度めぐみと頷き合い、ツッキーに向けて同時に両手を大きく広げ、笑顔を向けて、これから何度も何度も口にするであろう言葉を口にする。
「おかえり、ツッキー!!」
「おかえりなさい、蛍。//」
僕らの言葉に、ほんのり頬を赤く染めたツッキー。
「……ただいま。/」
これからは毎日、3人一緒だ。