第8章 ゴメンネよりも、ありがとう。
山口side
休みということもあり、おばあちゃんが作るお昼ご飯の準備を手伝っていると、インターホンが鳴った。
菅原さんや菅原さんの奥さんは、自分の鍵を使って家に入るから、インターホンを基本鳴らさない。
おばあちゃんや、ちよちゃんは今目の前に居るし…
あと考えられるのは、おじいちゃんか宅急便屋さんくらいだ。
「はーい。」
そんなコトを考えながら玄関の扉を開けたもんだから、俺は目の前のヒトたちにかける言葉を持ち合わせていなかった。
「………………………」
「…よかった。無事でいて。」
そう言っためぐみに、気がつけば俺は抱きしめられていた。
「!!!////……なんでココだってわかったの…?//」
高ぶる気持ちを抑えて、横に立つツッキーに質問する。
俺の耳元ではめぐみが鼻をすする音がしてるから、ここはツッキーに聞くのが一番だ。
「…菅原さんから連絡がきた。……僕が言うのもなんだケド、勝手に居なくならないでくれない…?誰かさんが大泣きして『ゔっ…ゔ〜!!』……もう、いい。」
ツッキーが呆れるのもムリはない。
めぐみが俺の胸のなかで豪快に泣き出したのだから。
昔から、めぐみは泣き方だけは男らしい子だった。
…だけど、この泣き方は、めぐみが本当に心から俺のことを心配してくれていた証だ。
小さい時、よく嘘泣きをしてはバレて、おばさんに怒られていた。
【あんたがそんなにおしとやかに泣ける訳ないでしょ?】と。
幼い頃の懐かしい思い出を久々に思い出したからか、それともあの頃のようにまた3人で話せているのが嬉しいからか、俺までなんだか泣きそうになってきた。