第7章 スキということ。
月島side
周りの視線から1秒でも早く逃れたい僕は、終了の挨拶とともに、なるべく平静を装って体育館を跡にした。
背後から山口が色々と話しかけてきたから、
「…うるさい、山口。」
そう言ってヘッドホンで両耳を塞いだ。
ヘッドホンからは、春休みにめぐみに借りてダウンロードしたアップテンポな洋楽が流れる。
こんな処にまで、めぐみの存在があるのかと思うと、苛ついた。
イヤ…、別にめぐみが近くに居ないくらい…。
…チッ、
なんでこんなに今日は苛つくんだ…?
当たり前のことだろ?
【めぐみが同じ部活に入らない。】
ただ、それだけのコトだ。
なのに、ナンダ?この感じ…
落ち着かない。なにかが物足りないような感覚。
「…はぁ……」
…なんだよ。
すっかり暗くなった空の下、僕は一瞬だけ月を睨みつけて、苛々を噛み締めた。