第2章 かわいいひと(GS3 新名)
「バンビちゃん、わたしたち、そろそろ行くね」
「あ、はい!ふたりの時間を邪魔しちゃって、すいませんでした!」
「あはは、そんなことないよ。またおしゃべりしようね!」
「またライブ来いよ!んで今度は声掛けろ!命令な!」
「まぁたコウは偉そうに……」
「オレ様は偉いんだ!」
先輩とハリーさんのやりとりに、つい笑ってしまった。
正門前に停めてあった、機材用らしいバンにふたりが乗り込み、走り去るまで、わたしはそこで見送っていた。
なんだか今日は先輩のイメージが少し変わったな。
キレイで大人っぽい優しい先輩も、彼氏の前では可愛い女の子だった。
そうだ、今度先輩を見かけたらお願いしてみよう。
旬平くんがハリーさんのファンなことを話して、内緒でふたりを会わせてみたいって。
旬平くん、驚くだろうな。
それから、ハリーさんにファンです、って詰め寄るんだ。
それで、そんな旬平くんを見て、きっと先輩は笑う。
さっきみたいに、悪戯を成功させた子供のように。
頭に浮かんだその笑顔は、いつも見ている先輩の笑顔より、妙にしっくりきて、可笑しくなった。
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ハリーのバンド名がうろ覚えな件←
そして、てり(やき)う(どん)シェイクはぜったいマズイ