第6章 突撃!桜井家ご訪問!(GS3 桜井兄弟)
キッチンからはアイツとオフクロの楽しそうなおしゃべりの声が聞こえる。
うちはムサイのばっかだから、同性が増えてオフクロも嬉しいんだろうか。
そんなことを考えていると、ケーキを食べるだけで黙っていたオヤジが、不意に口を開いた。
「……琉夏、おまえは、あの子と一緒になる気か?」
「え?うん、まぁ、そのつもりだけど」
「あちらのご両親にはもう挨拶したのか」
「? 遊びに行ったときはちゃんと挨拶してるよ?」
「そうじゃなくて。しっかりしなきゃ駄目じゃないか。おまえも父親になるんだろう」
「は?え?ちょっと待って、話が見えないんだけど」
「……、子供が出来たんじゃないのか。その……、流行りの、さ、授かり婚とか言う……。それで彼女を連れて挨拶に来たんだろう?」
「…………」
そこまで聞いて、俺が噴き出した。
「ブッ!ククッ!ぶはッ!…、オヤジッ、ハハハハハ!」
「なっ!なんだ琥一!」
「ダハハハハハ!やべぇ、ハラ痛ェ!クッ!」
オヤジのやつ、なんて勘違いしてやがんだ!
笑い続ける俺に、焦るオヤジ。
放心していたルカもやっと状況を把握できたらしく、笑いながら口を開いた。
「……父さん、俺、子供なんて出来てないよ?」
「は?」
「自慢の彼女、紹介したくて連れてきただけ」
「……本当か?」
「ウソついてどうすんの」
笑ったルカに、オヤジは脱力してソファーに背をもたせ掛けた。
「……そうか……。俺はてっきり、もうおじいちゃんになるのかと……」
その言葉をきっかけに、俺もルカも、噴き出した。
「ブハッ!オヤジがおじいちゃんて柄かよ!ダハハ!」
「あははは!父さん…!やば、腹痛い…!」
「ブッ!おじいちゃんつーかジジイだよな!ジジイ!クククッ」
「あはは、もしそうなったら゙じぃじ゙って呼んであげるよ、っはは!」
「ルカてめぇ…ッ!笑かすんじゃねぇよ!ブハッ」
「……クッ、ハハハハ」
笑い続ける俺たちを見て、居心地悪そうにしてたオヤジも笑い出した。
「あら、楽しそうね」
笑い声を聞いてキッチンから顔を出したオフクロが笑う。
続いて顔を出したアイツが、笑い合うオヤジとルカを見て、嬉しそうにはにかんだのが、瞳に焼き付いて離れなかった。