第1章 DDD発売記念
呼びかけても反応はなく、まさかと思って近付くと、一定の調子で静かな寝息が聞こえてきた。
リクが居眠りなんて、珍しい、日頃気を張り過ぎているからかな。
ふと魔が差して、
隣に座り込み、肩へもたれ掛かった、このまま夕焼けのまどろみに身を委ねて眠りに落ちてしまえたら良いのに。
すぐ隣の目隠しをした寝顔を見つめていると、ぴくりともしない様子がなんだかおかしくなって、少し笑ってしまった。
「…何がおかしいんだ?」
「!」
急に口を開くものだからびっくりして、慌てて身体を離そうとすると、腕を掴まれてしまった。
俺の顔に、何か付いているのか?
目隠しをしているとはいえ、顔を近付けられ、わたしの顔が赤くなるのがわかった。
意地の悪い問いかけに答えないでいると、
うたた寝してしまうなんて、
うかつだった…と呟いていた。
*ドリームドロップ
ディスタンス*
(お前の顔が赤いのが)
(目隠ししていても分かる)
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初出…2012.03.28.