第4章 新しい性地
「本当に、ごめんなさっ……」
涙を拭ってくれる澤村先輩の優しさに甘えるだけの私。
こんなにも自分が最低だなんて思わなかった。
家に帰り、及川先輩にメールをいれた。
【ご褒美にお願い一個聞いてあげるよ〜♪】
きっとこの人は、澤村先輩にも二人とおんなじようにただセックスを楽しんでたんだと勘違いしてる。
確かに気持ちよかったし、楽しかった。
けどそれは最中の話。
終わった後とどこかで冷静なもう一人の自分は罪悪感でいっぱい。
あんな風に感じられるのは二人だけだよ。
……少なくとも、性欲より優しさの勝る澤村先輩じゃ無理なことは確か。
【もう澤村先輩とはシたくないです。あの人はそんな人じゃないんです】
【そっか〜合わなかったか。せっかくシホが俺に会えない時の代わり探そうとしてたんだけどなぁ】
メールを見た向こう側の及川先輩の顔なんて容易に想像できる。
楽しそうに笑ってるんだろうな。
命令なら及川先輩とヤれって事にしてくれたら嬉しいのに。
「はぁ……」
ため息を吐いてベッドに倒れこむ。
【烏野で逆ハーレム完成は無理そう?】
いやそんなの建設企画もなかった物なんですけどいきなりなんですか。
こうなったら本当にめちゃくちゃやらかして、青城にでも編入しようかな……。
及川先輩へのメール返信を考えている時、スマホが震えた。
誰かからメールみたいだ。
【よかったらまたシてほしい】
それを見てびっくりした。
勝手に勘違いしてたみたいだ、澤村先輩のこと。
【及川先輩、作れるかもです。逆ハーレム】
なんだか少しだけ楽しくなってきた。
【もちろんです】
澤村先輩にメールを返して、私は一人でそっと笑った。
例え心が向かなくっても、ヤれるならいっか。
どこか引っかかっていたリミッターが外れて、身が軽くなったみたいだ。
【いい子だね。じゃあ次の命令。次の練習試合、俺とヤろっか…あと青城メンバーとね】
狂った高校生活の第一歩を踏み出した。