• テキストサイズ

【ハイキュー】大王様の奴隷〜命令H〜【R18】

第1章 始まり


シホside


「真白。こっちに来な」


甘い声が優しくも、やけに落ち着いて私の名前を呼ぶ。


見ると声の主は学習机の前に立っている。


真白シホという私の名前を、及川先輩は以前からずっと苗字で呼んでいた。


この人はほとんどの後輩に対してそうだから、特別距離感を感じることは無い。


三年生の及川徹先輩と一年生である私との繋がりは、同じく北川第一中学校に通い、男子バレー部に所属していることから始まっている。


先輩が選手で私がマネージャー。


今日は大会が終わってしまって部活を引退した及川先輩に、暇だから家においでよと誘い受けてここに来た。


清涼飲料水のCMにでも抜擢されそうなモデル顔負けの爽やかな見た目の及川先輩は、それに似つかわしい笑顔で私を手招く。


もう片方の手の中では、先日惜しくも敗れた県大会で彼個人に授与されたベストセッター賞の盾が大事そうに抱えられている。


「どうしたんですか?」


及川先輩の隣に立って背の高い彼を見上げると、途端にこの空間に2人きりなことに違和感というか変な気分を覚えた。


そうだ、及川先輩の隣に岩泉先輩がいない状態なのは初めてかもしれない。


彼の幼馴染みで彼の世話役・見張り役の岩泉一先輩はいつも、自然と目の前の彼と一緒にいるけど今日はいなかった。


少し緊張が走る。


及川先輩との関わりは特別多いわけじゃなかったけど、時々セクハラ紛いなことをされることはあった。


なんでも練習中にカッコ悪い姿を何度も見せている私に対しては、カッコつける必要が無いから何でもできるんだとか……。


「これ!見て見て、ベストセッター賞」


「持っていいんですか?」


「もちもち〜!セクハラした仲じゃん」


栄誉あるキラキラの盾を私に手渡しながら、及川先輩は舌を出してキランとおどけた笑顔を見せてくる。


……やっぱりそういう仲なわけですね。
/ 307ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp