第1章 可笑しな目覚め
ああ…眠い…そろそろ起きなきゃ
アアアア月曜日って憂鬱…
無理…もう無理…
重いまぶたをゆっくり開ける
いつもみたいに。
いつもみたいに…
いつもみたいじゃなかった。
「ん?」
金髪の…イケメンの…膝枕…
おお…なんだこの展開は。
「起きたぞ」
「長いこと寝てたね、おはよう」
近づいてくるのは…黒髪の…イケメン…
2人ともすごく見覚えのある服を着てるし、
声も知ってる、顔も知ってる
はは…まさか…
「ほんとに、よく寝てたな」
頭撫でられてる…
ちょっと力強い…
「なあ臨也、こいつどうする?」
“臨也”…
ということはこっちの彼は…
「しぅちゃん…?」
なんだろう、私の声じゃない、高い…
「俺のこと知ってるのか?」
「池袋最強を知らない人はいないでしょ」
池袋最強…やっぱりシズちゃんだ…なんだろう、夢かな…
目をこすってみた
…なんだこのちっこい手は
頭がクラクラしてきた
わけがわからない
有り得ない状況
素直に受け止めろなんて無茶な話だ
今私がいるのは私の大好きな世界
でも、入ることのできなかった世界…
「お話を聞いてもいいかな?」
臨也の言葉に私は膝枕されたままコクりと頷く
「君は、どこの子なのかな」
どこの子…
あれ?
「わからない…」
えっと…私ってなんなんだろう…
私の頭の中に残っていた記憶は、
自分が女子高生であったこと
自分の名前
「デュラララ」が好きだったこと
“シズイザ”と“イザシズ”が好きだったこと…
だけ…
ああ…覚えてる4つの事実のうちの一つが「腐」だなんて…
それになんでシズちゃんが臨也の事務所に?
なにこの状況…有り得ないな
夢か?
こんなにリアルな夢なら、いっそこの状況を楽しんでしまおうか…?
「記憶喪失か…どうする?」
膝枕のせいで頭上から聞こえてくる声
麗しゅう…
「預かろうか。記憶がないんじゃ親も特定できない」
《預かる?!》
あまりの驚きに少しだけ顔を浮かせる
それに気づいたシズちゃんが頭を撫でてくれる
「いや、そうだけど…」
「俺の秘密の情報網を使えば、そのうち子供を探してる親だって見つけられるさ」
「おお、流石だ!」
わたしの親…
どんなだっかたな…
わからない
これは本当に夢なのか?
夢であったとしても、親の顔を忘れてしまうなんて…