第2章 カワイイ子には旅をさせない
イヤミside
平和で幸せな日々は突然崩れ去った。
ミーには、血のつながりのない娘の梅子がいるザンス。10年程前に、河原で衰弱していたのを発見し、デカパンのところへ連れてったんでザンス。意識を取り戻した梅子は両親に捨てられたと話し泣いたザンス。ミーは哀れに思いしばらく預かることにしたザンスが、一緒に暮らす内に梅子が本当の娘のように可愛く思い始めて今では自慢の娘ザンスよ。正直、大人になったら金儲けの為にいろいろと利用してやろうと思ってたザンス……その頃の自分を殴ってやりたいザンスが。それから会うと碌でもない事に遭うヤクザの息子達……六つ子にはぜっっったいに梅子には会わせては駄目だと最近まで無事に隠せていたザンスのに……。
悪魔達(六つ子)はミーの家もそして大事な娘も奪い去って行ってしまったザンス!!
その日はハロウィンだった。時間帯は夕方でイヤミは梅子と楽しくテレビを見ていた。すると扉をどんどん叩く音が響き渡った。思えばこれが悪夢の始まりだった。
『パパ、誰か来たわよ?』
「ま、待つザンス!ミーが出るザンス!」
梅子が出ようとするので慌てて引き止める。なんだかとても嫌な予感がする。今もどんどん扉を叩く音に、「はいはーい、今開けるザンス」と扉を開けるとそこにはコスプレをした六つ子がいた。
「Trick or Treat」
「なんザンス……?」
「Trick or Treat」
六つ子の長男である松野おそ松が「Trick or Treat」とだけしつこく言ってくる。すると残りの兄弟も長男に続き「Trick or Treat」と騒がしくなってきた為に、梅子が不思議に思いここに来られては困ると感じ、ありったけのお菓子を投げた。
「それで終わりザンス!もう二度と来なくていいザンスよ!」
必死にお菓子を拾い集める六つ子にそう言い捨てると、ドアをバターンと閉じた。ほっとした。まさか六つ子が家に訪れるなんて……。
娘の待つ部屋へと向かう。そこには笑顔で迎えてくれるはずの梅子が……