第43章 the night Walker.
愛した人が化け物で、その人を救いたいと血を与え、ただ一緒になりたいとその人の種を花咲かせた。
ただそれだけだったのに。
「私は愛する人を失い、人としての生活も失い、もう何を糧に生きていいか分からない」
泣いているその人をなだめて血を与えた。
ならば私があなたを救うと。
私があなたと共に居ようと。
でも――あの人は消えた。
細雪の夜闇に溶けるように、もう会わない方が良いと、ありがとう、と私に告げて。
ああ、――思い出した。
「初音」
あの時のあの人。
石和初音。
「会いにきてはいけないと、探さないでとお願いしたのに、君が私が根城にしている学校にきた時には驚いた」
私はあの後、私の様にもうすっかり化け物に成ってしまった仲間を集めて学校に棲んでいた。
園芸部を隠れ蓑に。