第43章 the night Walker.
「いないはずの人がいて、いるはずの人がいない」
石和さんの声がどこか固い。
蓼科さんも黙ってしまった。
「いる?いない?」
「そう。いるはずのない人がいて、いるはずの人はいない」
部長の言葉に何だか頭が痛くなる。
わたし、は?
「部長、はこのクラスなんでしたっけ?」
私の言葉に笑った部長の白い歯が闇にきらめいた。
「私は『園芸部の部長、石和初音だ』」
え?
「私も『蓼科です』」
え?
二人は笑っている。
「木原さん、思い出さないか?白い白い、月が明るい夜だったね?」
部長の言葉に勝手に動悸が上がった。
白い月夜?