第43章 the night Walker.
彼女は非常階段を上り三年の教室のある階に来た。
戸の鍵は開いている。
いつもそうなんだろうか?
廊下は薄暗く端に取り付けられた防災関係のブツの赤や緑の明かりがぼんやりと闇に浮いていた。
「さて、いるかな?」
部長はおもむろに教室の戸を開けた。
教室の鍵は空いていたけれど明かりは勿論点いていない一一けれど人が居た。
「夜警、連れてきたよ」
部長は窓際の席に座るその人にきさくに話しかけた。
机の上には懐中電灯が立ててある。
彼女が振り向いた。
「初音ねぇさま、いらっしゃい」
その子は立ち上がり私達に向かって一礼した。
「ね、木原さん、うちの学校の七不思議を知ってるかい?」
石和部長が不意に云う。
「た、確かありきたりな、トイレの花子さんとか走る二宮尊徳像とか?」
確かそんなんだ。
後は居残ったまま忘れられて閉じ込められて死んでしまった女生徒の霊とか?