第40章 あなたとワルツを。
痛いッ…痛い!
痛いだけの牙が突き立てられるそれが吸血にいたる事はなくて。
「はじめせんぱい?」
噛み跡を指で撫でながら体を離した岩泉先輩を見る。
お弁当は置かれて、お茶を飲む事もなく岩泉先輩は俯いていた。
「つむぎは俺が好きか?」
ふぇ?
当たり前!
「はい」
「他のやつらは?」
うーん…。
「好き、です。でも、一先輩は特別なんです」
それは絶対に嘘じゃない。
確かにみんな好き、あの時私を助けてくれて初めてを捧げたのが他の人だったら私はその人を特別と云っただろう。
でもそれは結果論で。
私を助けてくれて初めてを捧げたのは岩泉先輩だし、その後やっぱり助けてくれてデートして告白してきたのも岩泉先輩なんだ。
あのデートの事を思い出すと今も胸がいっぱいになる位だ。
期待と不安、で、期待が爆発するような告白一一。
誰と何回、ナンテ数えてないけど体を重ねても一先輩は特別。
私の彼氏だ。
「やっぱり私が悪いから最近…」
「いや、ちがくてな」
食いぎみに岩泉先輩が入ってくる。
はい?