第39章 放課後 Date.
最近呼ばれてないから。
いや、まあ、及川先輩は呼んでくれるんだけど、…私は…私はね。
一先輩に…。
「じゃあ、『薔薇の花嫁』として、…だめですか?」
「だめ」
「何なら良いんですか!」
「つむぎが、自分として俺を好きなら」
『薔薇の花嫁』じゃなく、『木原つむぎ』として。
じっと見つめられて、本当にドキッとした。
「それは…ムリ、です」
だってそれで良いのは、一先輩だけ、だから。
「ん。いい子」
よしよしされて、何だか悔しい。
「もう花巻先輩には血、あげません!」
怒る私に花巻先輩が笑う。
「それもだめ」
不意にそっと顔を引き寄せられキスした。
唇がくっついて、あったかくて。
そのまま口を開くと舌が入ってきて…。
はふはふしながら口をくっつけ合う。
唾液にはモルヒネより高い快感作用があるらしいけど、本当かも…なんて思う。
キスが気持ちよくて…体がぷるぷるする。
「はい。おしまい」
花巻先輩が顔を離す。
何か名残惜しい、かな。