第20章 側にいたい
どうしたもんか…と頭を悩ませた私たち四人は、きっと征十郎ならば知っているのでないか、と彼を卒業式の行われた講堂前の噴水の脇で待ち伏せた。
すると、そこに征十郎が現れる。
「征十郎」
私に名前を呼ばれた征十郎は、こちらへ振り返った。
「送辞、お疲れ様」
「征ちゃん、格好良かったわよ」
私とレオ姉は微笑みながら言う。
そう。
一年生ながらバスケ部の主将だけでなく洛山高校の生徒会長も務める征十郎は、先程の卒業式で卒業生に贈る送辞を担当していたのだ。
「ありがとう。でも、それを言うためにわざわざ待っていたわけではないだろう?」
「もう、本当に何でもお見通しね、征ちゃんは」
レオ姉が小さく肩をすくめながら言うと、征十郎は柔らかく微笑んだ。
その笑みは、ずっと私が見たかった笑顔そのもの。
「本当は、黛さんのことを聞きたくて待ってたんだろう?」
「そう!だってさ!卒業証書授与んときもいなかったんだぜ!?」
「それはあんたが寝てたからでしょ。アタシはちゃんと名前が呼ばれるのは聞いたわよ……まぁ、姿は見つからなかったけど」
征十郎の問いに勢いよく答えたコタちゃんに、レオ姉は呆れた顔。