第1章 施設の友達
今日のリハビリも終えて、私は真っ先に彼の部屋へ向かった。
ーコンコン
(…?はい)
すぐ返事がかえってきたので遠慮なくドアを開ける。
「入りまーすよー」
「 綺美佳さん!?」
「体、大丈夫だった?」
そう聞きながら、私はベッドで横になっている彼のすぐそばの椅子に腰掛けた。
「いやー…自分もすっかり忘れて思わずいつも通りに立ち上がってしまいましたよ」
ハッハッハッと、さっきのように笑いながら頭をかいている彼。
「あー…気をつけなきゃねぇ」
彼の明るい笑い声とはうらはらに、私はなんともいえない返事をしてしまった。
「… 綺美佳さん」
「んっ?何?」
「ご心配おかけして、スンマセン…」
急にシリアスな空気になる。
「いーよぅっ!仕方ない仕方ないっ。
ゆっくり治していこうよ」
「あたしもだけどね」といいながらふふふと笑う私。
それからしばらく、二人で他愛もない話をしていた。