第1章 施設の友達
部屋に入ると、いつものようにリハビリの先生が迎えてくれた。
「では 伊丹 さん、始めましょうかね」
「はい、よろしくお願いします!」
花道は壁側にあった椅子に座って 綺美佳の様子をずっと見ていた。
ここは通院している人も多いようで、向こう側では首を吊っているような機械もあり花道は少し驚いた。
白髪のオッサンが「ふぅーっ」と声を出している。
トイレに行きたかったのを思い出してすくっと立ち上がると、背中に痛みが走った。
「ーーつっ!!」
思いのほか大きな声が出たらしく、部屋中の人が一瞬コッチを向いた。
「君は…今朝入った子だね。ダメじゃないか、安静にしてないと。君がここに来るのはまだ先だよ。」
綺美佳についていた先生が諭す。
「はい…スンマセン…」
素直に謝ると、花道は静かに部屋を出ていった。
その様子を 綺美佳は心配そうに見ていた。