第2章 転入
~回想~
それは、4年前。その時ミクルが10歳だった。
ミクルが友達と遊んでいた時の話だ。
「ミクルー!!パース!!」
友達が蹴るボールがあまりにも強すぎたため、公園から出ていってしまった。
「強いよー!!」
「ごめーん!!」
ミクルは公園を出て、ボールを取りに、信号を無視して、横断歩道を渡ろうとした。
その時……
車がこちらに向かって来た。
「!!」
やばい、ひかれる!!
そう思ったその時――
「エリュクス!!」
群青色のLBXがミクルを掴み、横断歩道を横切った。
「ったく、気をつけろよ!!」
運転手はそう言って去った。だがミクルには、運転手の声が耳に入らなかった。
ミクルは群青色のLBXを見つめた。
緋色のかかったマントが風に靡く。
「大丈夫か?」
頭上から声がして、顔を上げる。
その声の正体は、少年。長い黒髪を後ろで結んでいる。
ミクルにとって、彼の群青色の瞳が印象的だった。
僕を救ったこのLBXと同じ色。
「あ、大丈夫です。助けてくれてありがとうございます」
「此処は車がよく通るから、気をつけた方が良い。もう二度と飛び出すなよ」
群青色のLBXは、少年の右肩に飛び乗った。少年は踵を返して、その場を去った。
少年の群青色の瞳が、ミクルの印象的に残した。
~回想終了~