第3章 ウォータイム
「ツバサ、それに皆!」
ミクルは振り返る。
「大きい声であなたの名前読んでたわね」
「あいつは?」
「彼は瀬名アラタ」
「ジェノックの新人さんか」
「え?どうしてわかったの?」
まだ所属国を教えていないのに、どうしてわかったのだろうか。
「制服の色よ。この学園の生徒は所属する仮想国ごとに制服の色が決められているのよ。あたしたちハーネスは紫。ジェノックは紺色。最大勢力のロシウス連合はグレー。今日戦ったアラビスタはカーキって感じね」
「そうなんだ……」
同じ色ばかりだと、敵かどうか見分けがつかなくなるだろうと思って、色も決まっているのだろう。
ツバサがぐったりとした顔でメイカに言う。
「メイカー、そんな説明どーでも良いから、早く帰ろうぜ。俺、腹減ってもう無理」
「そうね、じゃあダック荘に帰りましょう」
青年は木に乗って隠れていた。足をぶらつかせ、ただ笑って少年たちを見ていた。
頭部のひし形に、後頭部に結ばれた長い髪は黒と緑のグラデーション。そして、肩には群青のLBX。
「瀬名アラタと青音ミクルか……」