第3章 ウォータイム
「戦争の影響による世界情勢の変化を分析するわけですか?」
「察しが良いわね。そんなところよ。でもこのプロジェクトにはもう1つ大きな役割がある」
「それは?」
「世界平和の維持、よ」
ミクルは目を丸くする。
「世界平和?」
「世界には他国との緊張状態にある国々が数多く存在している。セカンドワールドによって先に戦争の結果を知ることが出来れば戦争の防止になる。……それが国連統合政府が推進する『エクスペリエント・リアリズム・プロジェクト』略して『ERP』と呼ばれる計画よ」
「でもこんなことしなくても、コンピューターでシミュレーション出来るんじゃ……」
「コンピューターにも計算出来ないものがある。長年の研究でそれがわかったの」
「コンピューターにも計算出来ないもの……。何ですかそれは?」
「『人の感情』よ。憎しみや怒り、独占欲や支配欲……。それは『戦争』に大きな影響を与える。其処までシミュレートしなければ世界平和は維持出来ない……」
だから、優れたLBXプレイヤーが集められた学園なのか。戦士ではなく、兵士として。