第5章 担任は、蛇?
担任が急な呼び出しのため、教室から出て行ったのは浩也が愛に声を掛け終わった頃だった。
前のクラスだと、愛を囲むように人だかりが出来ていたというのに、新しく来たメンバーは浩也のそばに立って、盛り上がっていた。
愛は、あれからずっと浩也を見つめたままで、黄瀬たちから声をかけられて、彼らに振り向くほどに浩也に夢中になっていた。
「なぁなぁ、浩也の双子なんだろ!?
似てるな!!」
黒子はルフィからの質問に苦笑を浮かべていた。
質問の内容にではなく、彼の周りにいた黄瀬みたいに尻尾が見えてきて、思い出して、思わず苦笑になっていたのだ。
「ルフィ、テツがうるさいって」
「えー!?」
「浩也。
僕はそんなこと思ってませんが?」
「そう?
ふーん。
あ、征十郎、今日放課後バスケ部見学していい?
今のところここにいるメンツ、何かに入ろうと話し合っててさー」
「構わないよ。
いつもテツヤと二人きりだからね。」
あの後、赤司とも仲良くなった浩也は彼の名前を呼び、そして赤司もまた名前で呼んでいた。
ローもまた、何かを感じたらしく赤司の名前を、赤司もまたローの名前を呼び合っていることに黒子は浩也を見ていた。
(ね?言ったでしょ?)
とでも、言うかのような笑みに黒子は未来をこの双子は見ているのかと思ってしまった。
ガラッ
ドアから聞こえてきた音に、話し声は止み、ドアの方へと視線が向けられていた。
今さっき来ていた担任ではなく、女性。
胸元が開けられた服装に、思わず目線の先がその胸元へと向けられていた。
だが、教壇に立った彼女にはそういった視線よりも、笑顔を浮かべて手を振っているとある二人へと向けられていた。