第28章 過保護な奴らと好奇心旺盛娘
ハンコックが部屋から出て行った後、龍輝はぼんやりと天井を見つめていた。
それと同時に聞こえてくる鐘の音に、のそのそと体を起こした。
授業が始まったら、こっちのもの。
視線も取り敢えずはカット出来るし、ローたちに心配かけることもない。
「だいたいあいつらは、過保護すぎなんだって」
ー別にそばにいることは構わない。
みんなでワイワイと騒いでいるのが楽しいから。
でも、守られるのはやだ。
自分が、改めて弱さを感じてしまうから。
彼女は深く息を吐いた。
さぁ後はこの廊下を渡りきって、階段を降りたら、自分たちの教室だ。
「?」
音が聞こえる。
それは、微かな、だけども確かに聞こえていて、通り過ぎていた教室のドアをゆっくりと開けた。
カーテンで仕切られた教室は、さらに暗闇を強くし、元々は資料室なのか、本の香りでいっぱいだった。
通常ドア横にあるスイッチを上下に切り替えても、電灯が反応することなく、龍輝は携帯を取り出すと中に入って行った。
「誰かいるのか?」
「んー!!」
くぐもった声だが、確かに反応があった。
携帯のライトだけが、足元を照らすための道具で探せる範囲も決まっていた。
聞こえてくる音だけが、頼りで。
声よりも、自分の心臓がバクバク言ってる方が聞こえてきて頭を振った。
少しずつだが、近づいてくる声に、性別が女の子だと。
暗闇に目が慣れてきたおかげで、探せる範囲が広くなったことと。
2つのことがわかった。
「!
いた!」
一番奥、カーテンで隠されるようにいたのは帝光の制服を着た女子学生。
口元がヒモによって、結ばれていて、手も後ろで結ばれているのだろう。
光を見た際に、泣きそうになっていた顔を見て、気付けてよかったと大きく息を吐いた。
着ていたブレザーをスカートの上からかけ、改めて彼女を見た。
後はヒモを解けば、大丈夫のはず。
周りにあった道具など気にせず、龍輝は目の前で助けを求める少女の方へと手を伸ばした。