第2章 情報の共有【Ⅰ】 小さな背中
銀時side
「男……仲間は男だったのか。もしかしてそいつが人斬り……。」
「言い切れる自信がある。変声期を使っている様子もなかった。さっきいった面子が死んでんならそうだろ。」
「そいつが千里を唆したんですねィ。」
今にも刀を振り回しそうに憤る沖田。
何度目かわからない舌打ちを沖田はするが、咎める人もいない。その勢いで近くにあった高級酒を沖田が手に取る。
さすがに土方も焦ったのか、
「オイ総悟。」
「旦那、ワリィが少し飲ませて下せェ。」
銀時の返事を聞く前に沖田は酒をあおる。
飲まなきゃやってられない、そんな雰囲気が醸し出されていて。
銀時も沖田を一瞥し、土方を片手で制したあと、言葉を続けた。
_______________それは最上級の皮肉で。
嫌味としか思えない一言だった。
『俺たちは貴方のように志半ばでやめたりしません。』
何を思っているのか分からない声。
銀時が何も言い返せず、躊躇っていると男はさらに続ける。
『どうしてこの世には裁かれない罪があるのでしょう。どうしてこの世には悪がはびこるのでしょう。それはね、白夜叉様。』
背筋に這い上がるモノ。
それは感じたことのない哀しみ。
『正義を正義だと証明するためですよ。』
「……は?」
『ヒーローがいれば悪役がいる。でも、視点を帰ればヒーローは悪役で悪役はヒーローですよね。』
コイツ…。
「それで?自分は悪くない、やってることは正義だと?」
嫌味のように言う。
しかし、返事は予想に反するものだった。
『何をいってるんですか。人を殺しといて正義も何もないでしょう。』
銀時は眉を寄せ、認識を改める。
「……じゃあテメェは何が言いたい。」
『決まってるじゃないですか。』
俺は人殺しなんて嫌いですよ。
でも誰かがやらなきゃ始まらない。
『血に染まってでも守りたいものがあるなら守り抜け。人を殺してでも自分を貫け。』