第2章 情報の共有【Ⅰ】 小さな背中
銀時side
「神楽の友達……か。なかなかいい理由だな。」
「うるせェな。」
近藤は珍しく頬を染めて照れる銀時を見て、つい笑みがこぼれる。
そして考えてしまう。
自分達はこんな関係でいれただろうか、と。
「万事屋。続きを。すべて話してくれ。」
近藤は拳を握りしめた。
自分の事でいっぱいになって長い間、目を向けてこなかった彼女の事を知るために。
________________すねた様子の女を見て、まだ十代だな、と確信する。
どれだけ背伸びしても本性が垣間見えてしまったようだ。
「知らさなきゃもらう側は一生知らないわな。でも俺には無理だ。」
一呼吸、おく。
「たくさんの仲間を亡くしてきた。たくさんの仲間を殺してきた。殺したアイツにも家族があった。殺した敵にも大切に思う人が、思われる人がいたはずだ。」
そう、自分に守りたい仲間と家族がいたように。
「でも、もし自分が貫き通す道に阻むものがあったら、守るべきものがあったら迷わずいく。例え相手の志を折ったとしても。」
けどな、と銀時は女をしっかり見て続ける。
「だからといって人を殺すことを正義だと思ったことは一度もない。」
女は目を見開いた。
「俺は今守るものがある。……面と向かっては言えねェがアイツ等は、アイツ等は俺の今の仲間なんだ。」
あの大食いの娘も、呆れるくらい自分を貫かんとする真面目のメガネも。
「人を殺すつっつーことはいつか自分に返ってくる。どんな形であれ。それがどんな形で返ってくるのは運次第だ。」
「……。」
「俺はアイツ等に何も亡くしてほしくねぇんだ。なにより、今ある幸せを。」
日常から溢れる愛しさを。