第2章 情報の共有【Ⅰ】 小さな背中
銀時side
「あーあの金あったら家賃返せたのに。」
「馬鹿言うな。」
「冗談だっつーの。」
肩を竦めて答えれば隊員が一人部屋に入ってきて、酒を持ってくる。
結構な高級酒だ。
「オイオイ、ありがてぇが今から話すやつが酒呑んでいいのかよ。」
「分かってる。だからお前が話したあと、お前が飲めばいい。」
___________________目の前の大金を凝視する銀時。
思わず目が離せない。
「これはほんの一部です。」
ほんの一部だと。
これが、この額が。
ごくり、と唾を飲み込む。
「さて、白夜叉様。改めて__________……
私たちの同志に、攘夷浪士になりませんか?」
時刻は真夜中の12時。
ちょうどそのとき遠くで鐘がなった。
二人が話さなくなったことで辺りは静けさに包まれる。
銀時は考えた。
今までの行いとこれからのことを。
後悔は先に立たず。
覚悟を決めるなら今だ。
銀時はゆっくりと深呼吸をした。
息をすべてはき終わると銀時は初めて優しく微笑んで
「帰りなお嬢さん。依頼は聞かなかったことにする。」
と、言葉を紡いだ。
女ははじめは驚いたような顔をして、すぐに顔をしかめた。
明らかに不満気だ。
銀時は呆れたように苦笑する。
「なんでって顔だな。その様子だと俺が金に困ってるのも知ってるわけだな?」
「……。」
なにも言わない様子を見ると神楽たちのことも知っているのだろうなと思う。
それを知った上でこのことをもかけたのだろう、とも。
しかし銀時はそれを踏まえた上で自分の所感を話していく。