第2章 情報の共有【Ⅰ】 小さな背中
銀時side
「赦されない、罪の匂い。」
確かめるように近藤が言う。
真意のわからない言葉からは悲痛さが滲み出ていた、と銀時は続けた。
「まさか罪って……。」
「トシ。」
情報の問題からか局長として近藤は咎める。
しかしその言葉に銀時は顔をしかめた。
納得がいかない、とでもいうように。
「んだよ、こっちは教えんのに。」
「分かっている。だから先に聞かせてくれ。」
「だからなぁ」
「ちゃんと話す。」
銀時は驚きで目を見開くと、近藤はもう一度ちゃんと話す、と繰り返した。
「正直、俺たちじゃ判断できん。」
苦悩の表情。
どうやら沖田や土方が疲れていたのには深い理由があるらしい。
「いいだろう。」
このあとにちゃんと話せよ、と付け加えた。
_____________言葉を紡いだ後、女は何事もなかったかのように紙を机の上に広げる。
「さて、白夜叉様。ここからが本題です。」
「オイ。」
なんとなく依頼内容を察した銀時は女の言葉を遮ろうとするが、それに気がつかないフリをし、話を続ける。
「このヒト、色坂吉津って言うんです。幕府の重鎮の一人なんですけどね。コイツ民のことなんて一ミリも考えてないんです。金ばっかり裏社会に振り撒いて、バカみたい。」
「……オイ。」
「こっちのヒト、溝旗能義道って言うんですけどね。若い女の子を抱くのが大好きなの。いい年したおっさんがたったの12歳の女の子を。最低。」
饒舌に話す彼女の瞳は怒りの火花が散っている。拳も怒りから震え、ぎらぎらとした憎しみで一杯の表情をしている。
「こんなやつが国を修める一角を背負ってるなんてあり得ない。」
「なァ、俺の話を」
「それでソイツを政界に引き込んでるトップも。」
そこで、はっきりと気づく。
いやもうとっくに察していた。
まさか、コイツ……!