第2章 情報の共有【Ⅰ】 小さな背中
銀時side
「綺麗な女だな、それが第一印象だったよ。」
笑いながら言うと沖田が厳しい視線を銀時に向ける。その目は完全に魔王のソレで、地獄行きを命じそうな勢いだ。
「オイ総悟、目。」
土方が注意すると明らか様に舌打ちをする。
「うぉー、怖い。」
「旦那、続き。」
いつもの一オクターブは低い声。
ドスが効いた声とはこのことなのだろう。
「分ぁーたよ。」
________女を中に入れた後、女は笠を優雅な手つきで取った。
艶やかな手入れされた長い髪が銀時を惹き付ける。
「お前、綺麗だな。」
酔った勢いもあったのだろう、純粋に言葉が零れていた。
「お上手ですね。」
「バーカ。世辞じゃねぇよ。」
彼女を赤い椅子に座らせ、お茶……はなかったので
「いちご牛乳でいい?」
「はぁ……いいですよ。」
「悪いね。」
多少フラフラしながらコップにいちご牛乳を注いでいく。
明日の分がなくなるので半分だけ。
「どうぞ。」
「ありがとう。」
紅い唇をほころばせながら銀時を見つめる。
その時、銀時は微量の殺気を感じとった。
それと、血の匂い。
自然に口角が上がる。
女がいちご牛乳には口をつけただけ、飲んでいない所を確認し、銀時は確信した。
「ごちそうさま。」
減ってねぇだろ、と悪態をつきそうになるのを抑え、いえいえと答える。
そして銀時は女を真似するように妖しく微笑み、言葉を紡いだ。
「それで?なんの用ですか、攘夷浪士様が?」