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黒バス短編

第3章 Marry me


「あいつら、今日も一緒か?」
ズッとドリンクを吸い上げて青峰が呟いた。
発端は桃井が「ちゃんが、ちょっと遅れるって」と携帯画面を皆に向けたことだった。
「きーちゃんからは別に連絡ないけど、たぶん一緒だよね」
桃井が一応聞いておくね、と携帯を操作する。
夕暮れに差し掛かっているが、まだ周囲は明るく陽射しがコートに反射してキラキラと光って見える。
楽しい時間であるはずなのだが、面白くなくて紫原はふん、とまいう棒を口に運びながら鼻を鳴らした。
高校進学時に自分は秋田に行ってしまったが、は黄瀬と同じ海常高校に進んだ。その頃から2人一緒の姿は多くなったようで、確かに東京へ戻った折に皆と会う時間を作れば必ず2人並んで現れた。
その上、大学まで同じとなればますます2人一緒の時間は増えているだろう。
「大学一緒なんだから当たり前だし」
ボソッと呟いたのが聞こえたのかどうか、赤司が笑う。
「まぁ目的地が同じなら一緒に来るだろう」
普通のことだよ、とでも言うような赤司の視線を受け、聞こえてたんじゃんと紫原はもう一本まいう棒を取り出した。

「遅くなってごめんっす!」
何本目かのまいう棒を食べ終える頃、黄瀬がやって来て、その隣には予想通りの姿があった。普通のこと、と赤司の声が聞こえたような気がして、努めて平静に「遅いよー」と手を上げた。
「紫原くん、何味食べてるの?」
美味しそう、と笑って手を振るの姿は、モデルの黄瀬と並んでも見劣りしない。むしろお似合いの2人に見えて、返事もろくにせずに目を反らしてしまった。
再度視線を上げた時には、は困ったように微笑みながら、紫原から離れたベンチに荷物を置いていた。

「緑間くん、それ今日のラッキーアイテムなの?」
「あぁ、勝手に触ってはだめなのだよ」
の楽しげな声が聞こえ、視線を動かした。昔流行った映画のキャラクターのお面を頭にのせ、コートにいる青峰と黄瀬に頑張って、と声援を送っている。
紫原は再度鼻を鳴らした。その時、すっとペットボトルが前に差し出された。
「黒ちん、いたの」
「えぇ先ほどから」
それより、と黒子が続ける。
「これ、さんに渡してきて欲しいのですが」
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