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黒バス短編

第5章 いつでも一緒


「緑間くんだ」
声がする方を振り向くと、がにこにこと立っていた。高尾の幼なじみである彼女は、高尾に良く似ている。もちろん外見ではない、同じ匂いがするというのか身に纏う雰囲気が同じなのだ。
「こんなところで会うなんて珍しいね」
「明日のラッキーアイテム探しなのだよ」
さっきまで練習をともにしていた高尾を思い浮かべながら、緑間は答えた。その手にはおよそ縁のなさそうなロックバンドのCDがあった。
「和成がいないと、緑間くんもひとりだね」
「それはも同じだろう」
失礼なやつだと見るも、は、一人もん同士だねと、ぶふぉっと女子らしくなく笑った。
「ところで緑間くん、そのCDは買わずとも私が貸してあげるのだよ」
「真似するな。しかし、貸してくれるというのはありがたいのだよ」
「家にあるから明日でもいい?」
「構わないのだよ」
「お礼はアイスでいいのだよ」
図々しいところまで高尾に似ている、と緑間は思ったが、私のラッキーアイテムはアイスとでたらめに歌うを見ると、自称相棒に接している時のような気楽さを感じるのも確かだった。

その夜、ドンドンと、の部屋の窓が久しぶりに強く叩かれた。
窓を開けると何故かふてくされたような高尾の顔があった。
「今日、真ちゃんと何してたんだよ」
久しぶりという暇もなく、は夕方の出来事を話して聞かせた。
「近くにいたの?なら声かけてくれれば良かったのに」
あ、でも霧島さん一緒だったか、と屈託なく笑うを高尾は真顔で見つめた。
「フラれた」
「は?」
「さっき真ちゃんと一緒にいるお前見て、2人で楽しそうにしてたのが気になって、正直俺もあっち行きたいなって思った。そしたら、いつものことばかりって怒られて。確かにその通りで何も言えなくなってさ」
「そこは否定しなよ」
「否定しようとしたけど出来なかった。霧島さんにはすげぇ悪いことしたけど、いつでも心のどこかでお前といた方が楽しいって思ってた」
高尾は窓枠から身を乗り出しての背中に腕を回した。
「だからさ、もう少し一緒にいよう」
そしたら今度はずっと一緒にいようって言う、ってポツリと呟いた高尾に、もう言ってるじゃんとは苦笑し同じように高尾の背に腕を回した。

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