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黒バス短編

第5章 いつでも一緒


は高尾和成の幼なじみである。
窓をこんこんと叩けばいつでもお互いの部屋が行き来自由だったのは勿論のこと、がワンピースとして着ていた男物のシャツを時に高尾がきちんと正しくTシャツとして着こなすこともあったし、高尾のパーカーをが被ることもあった。
要するに2人はとても仲良しであり、高校に入ってもそれは変わらなかった。

「宮地先輩かっこいいねー」
バスケ部の練習を見に行ったの感想に対して高尾は笑った。
「あの人、みゆみゆ好きだからお前はムリ」
逆に高尾が隣のクラスの女子を見かけた際に
「霧島さんって可愛いな」
と言えば、が笑った。
「この前、緑間くんのことかっこいいって言ってたよ」
そうして「俺ら範疇外?」などと2人で笑い転げるのだ。

「俺、霧島さんに告白された」
ある夜、ドンドンと普段より少し激しく叩かれた窓を開ければ、高尾の紅潮した顔が覗いた。
としては、この前まで緑間のことがいいって言ってたのになと、少し派手な感じの霧島を思い浮かべ少し腑に落ちない気持ちにもなったが、彼女はそれでも高尾を選んだのでありそれを喜ぶ幼なじみを素直に祝福すべきだと思い、良かったね、と一緒に喜んだ。
高尾が霧島七織と付き合うようになってから、2人で過ごす時間は減った。
少し寂しくもあったが、は当たり前のことと受け止めた。他の女の子と歩く彼氏を見たら面白くないだろうし、ましてデートで女の子から借りた服を着ていくなんて論外である。
実際、最初のうち高尾は自分の幼なじみを彼女にも気に入って貰おうとしたのだが、「さんの話はやめて」と強く言われてからは話題に出すことは控えた。
勿論、霧島は可愛い女の子であり、練習にも試合にもまめに顔を出しては笑顔を振り撒いた。
ただ何時でも高尾と一緒にいたがり、「だってバスケばかりであまり一緒に要られないんだもん」と言われればその通りなのだが、幼なじみどころか相棒の緑間と過ごす時間まで奪われていくのには閉口した。
「私もチャリアカー乗せてよ」
が爆笑して緑間に話し掛ける、あの2人の姿が遠く離れた訳でもないのに何だか懐かしかった。
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