• テキストサイズ

黒バス短編

第4章 放課後抗争


そんないまいち格好のつかない笠松の一喝だったが、それでもがしおらしい声で答えた。
「わかりました」
やっと終結かと全員がホッとして、次の瞬間に絶句した。
がポロポロと涙をこぼしていた。皆が慌てるのをよそには立ち上がると
「じゃあもう森山先輩とは別れます」
今までありがとうございました、と走り去ってしまった。
「か、かさまつ!」
呆然と見送ったが、森山の悲壮な声で全員が我に返った。笠松もまさかこんな展開になるとは思わなかっただろう、明らかに狼狽えている。
「とりあえず追いかけよう」
小堀の声で一斉に立ち上がり、店を飛び出した。

「いた!」
とりあえず駅の方へ、との勘は正しかった。運動部に取って走ることは苦にはならない。あっという間にとぼとぼと歩くの小さな背中を見つけた。
「ちゃん」
森山が一歩前に出て呼び止める。無視されるかと思ったが、律儀にもは振り返りもう涙は流れていないものの赤くなった目で森山をぼんやりと見た。
「あの、ホントにごめん。君を「」」
森山がしおらしく弁明を始めた瞬間、なぜか笠松が意を決したという顔付きでぐっと前に出てきた。
「なんでこのタイミングなんすか?!」
その場の全員が同じ事を思ったが、笠松はめげない。
「あ、あのよ…さっきは悪かった。その、悪いのは森山なんだよな。お前、嫌な思いしたのに…ホントすまん」
「笠松先輩」
ぶっきらぼうな口調に真っ赤な顔をしながらも、自分の顔を見て謝る笠松はかっこよかった。の頬も赤く染まり、笠松を見ている。
「ちょっと待って!何でここでいい雰囲気になってるの」
やめてよ、と森山は半泣きで2人の間に割って入った。
「森山先輩」
がため息をついた。
「今回は笠松先輩に免じて許します」
パッと表情を明るくした森山に、ただし、と付け加える。
「グロス買ってください」
「買います」
「グロスならお奨め教えるっすよー!」
「皆でさんに選びましょうか、支払いは森山先輩ですけど」
もう少し寄り道して帰ろう、と皆で歩きだす。
「そこは2人にしようとかじゃないのか」
森山は異議を唱えたが、隣にいるがやっと笑ってくれたのでまぁいいか、と安堵の笑みを浮かべ輪の中に混じるのだった。
/ 15ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp