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黒バス短編

第4章 放課後抗争


「頼むからそろそろ機嫌を直してくれないかな」
せっかくこうして一緒にいるんだからさ、と遠慮がちな森山の言葉は、の冷たい目線によって遮られた。
「私は小堀先輩がシェイク奢ってくれるって言うから、小堀先輩達と来たんです。森山先輩はお約束があったんじゃないんですか?」
だから一緒に来たつもりはありません、とがシェイクを吸い上げる。そのストローは彼女の不機嫌さを表してるかのように、噛み跡がついていた。
部活帰りのマジバにて、テーブルを挟んだ対角線上の端と端との攻防に周囲の空気もどんよりと重い。

「まぁ、あれっすよ」
あまりに重い空気に耐えかねた黄瀬が口を開く。
「森山先輩もめったにない女子からのアプローチにちょっと舞い上がっちゃったというか。ちょっと一緒にお茶くらいって思っちゃったかもしれないっすけど、浮気ってことじゃなくて」
「めったにないってなんだよ」
「森山先輩、今そこじゃないっす!」
ちょっと黙っててください、と森山を制する黄瀬にはにっこりと笑いかけた。
「ちょっとくらいね…なら、私もこの前アプローチかけてくれたサッカー部の先輩とちょっとくらい遊んでもいいよね」
「それ、聞いてないよ。ダメダメ、絶対そんなのダメ」
「黄瀬、全く説得力なかったな」
森山の雄叫びと中村の突っ込みに、もういいっすと黄瀬は肩を落とした。
まあまあとなだめながら小堀が努めて穏やかに笑う。
「まぁ森山も反省してるし。その場のノリであの子と約束したかもしれないけど、こうしてここにいるわけだからな」
「それは私にバレたからでしょうが。お誘い受けたのは運命だそうですから、私なんか気にせず行けばよかったんですよ」
とりつく島がないとはこの事か。だがこれしきのことで森山はめげない。
「焼きもちかな。大丈夫、俺にとっての運命は君だけ」
「頭わいてるんですか。だいたい運命言いまくってる癖に、それ詐欺ですよ」
「おもし(れ)ぇな、そ(れ)。も(り)やま先輩の運命詐欺」
「お前らいい加減にしろよ」
いつまでも平行線のやり取りに、ついに笠松が口を挟んだ。
「森山はいつもこんな調子だ。もわかってるだろうが。嫌なら付き合うな!」
「いや、俺に言わないでくださいっす」
へビシッと言ったつもりだが、女性が苦手なので実際は隣の黄瀬に言い放つ形となった。
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