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テニプリ短編小説

第3章 不二周助


今日は2月29日。つまり、私の大好きな不二先輩の誕生日だ。これは4年に1度のビッグイベントである。
しかし、私はいま中学二年生。先輩は高校一年生。学校が違うのだ。不二先輩は卒業後そのまま青春学園高等部に進み、校舎もそう離れたところではないが私みたいな中学生が行くのはどうも憚られる。

「桜乃!朋ちゃん!ついてきてよ…!」

「あたしはパス!弟達の世話があるから。」

「じゃあ桜乃は?」

「お祖母ちゃんと約束があって…ごめんね…」

「仕方ないなー…」

諦めるしかないか…彼女でもなんでもない年下の子供に来られると困るかもしれない。もしかすると私に言っていないだけでもう彼女いるのかもしれない。その人とデートだったらどうしよう。邪魔になってしまう。

「まーたネガティブになってる!」

朋ちゃんに頭グリグリされた。痛い。

「朋ちゃん、やりすぎだよ…」

「桜乃、助かった…」

「一人でも不二先輩のところ行きなさいよ?絶対なまえのこと待ってると思うから。」

「私もそう思うな。」

「そっか…じゃあ行ってみる…!」

決意を固めるといてもたってもいられず、すぐにでも玄関へ向かって行った私を二人は応援していてくれた。
校門の近くへ行くとテニス部の人が数人いて、誰かと話していた。

「…不二先輩!なんでここに…!」

「待ってたよ、なまえ。じゃあ僕はこれで。テニス頑張ってね。」

そう今まで話していたテニス部の人達に声をかけ、ごく自然な動作で私の手を取って歩きはじめた。
状況が飲み込めなくて頭の中にハテナマークがたくさん浮かんでいる私に不二先輩がいつものように笑った。

「ふふ、緊張する?」

「はい…というか、不二先輩なんで中学校に…」

「さっき言った通りなまえのこと待ってただけだよ。」

「でもなんでですか?」

「誕生日、なまえと一緒にいたかったからかな?」

そんな照れるセリフを不二先輩に言われてほんとに恥ずかしくなった。

「赤くなってかわいいね。」

「ちょっとからかうのやめてくださいよ!」

「からかってなんかないよ。誕生日プレゼントになまえの2月29日もらってもいいかな…?」

「そんな…普通のプレゼントもありますよ?」

「じゃあどっちももらおうかな。」
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