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遠い記憶の中の思い出

第4章 月が綺麗な夜



「え、あ、あのどなたですか?」

「良かったやっと起きてくれた、僕は後楽荘に住んでる月島というものです」

後楽荘…あの下宿みたいなところか
ということはこの人も先生か

「新しく来た先生が急に失踪したとかなんとかで騒ぎになりましてね、みんなで探してたんですよ。どうしたんですか?」

「ええと…散歩しようと思っていろんなところ探険してたら道に迷ってしまって…」

その場しのぎで嘘をついてしまったけどまあいいだろう

「散歩でこんな遠くまで来てしまうなんてよっぽど散歩好きなんですね」

そう言ってその人はクスクスと笑っていた

「ここはあの宿からはどれくらいの場所なんですか?」

「うーん、そうですねえ、4キロくらいでしょうか」

…あらまあ
そんな距離を全速力で走っていたのか
どうりで疲れるはずだ

近くには年代を感じる軽トラが停めてあるのが見えた

「いやあ、車で探して良かったです。こんな遠くまで来てるとは思いませんでしたからね。」

なんだか申し訳ない気持ちだ
しかしどうしてここにいるとわかったのだろう

「この大きな木が村の端なんです。ここまで来て見つからなかったら本格的に捜索願いを出そうってみんなで話していたんです。」

不思議そうな顔をしてるのがバレたのだろう
ここまで探しに来た理由を話してくれた

「何はともあれ無事に見つかって良かったです!さあ、帰りましょう。」

そう言って手を差し伸べてくれた

とりあえずあの場所に戻るしかないみたいだ

車に乗るとまた眠気が襲ってきた
帰ったらいろんなことをこの人に聞いてみよう
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