第2章 【紫原】お菓子よりも甘い
私はお菓子作りだけがとりえの地味な女子です。
そんな私にも好きな人がいます。
と言っても、その人には「食べ物をくれる都合のいい奴」としか思われてないと思いますが…。
「悠紀ちん、おはよ〜」
『紫原くん。おはようございます』
噂をすればなんとやら。私の好きな人…紫原敦くんが登校してきました。
屈まないと教室に入れないくらい大きな紫原くんは、私と話すときいつも、目線を合わせてくれます。
もちろん、私だけではないのでしょうが…そんな小さなことにも、喜びを感じている自分がいます。…恋は盲目と言いますが、言い得て妙ですね。
『紫原くん。今日はチョコチップのクッキーを焼いてきました』
私がそう言って、ラッピング袋に入ったクッキーを取り出すと、紫原くんはキラキラと目を輝かせます。
そんなところも可愛い…と思うのは、私だけでしょうか?