第6章 【氷室】5年越しのI love you.
高2になり、日本の高校に通い始めたオレは、驚いた。
編入先の高校に悠紀がいたからだ。
悠紀は、バスケ部のマネージャーをしていた。
あんなにバスケを“する”のが好きだった悠紀がどうして、と思ったが、悠紀はもうバスケが出来ないほどに膝を痛めてしまっていた。
中学にあがる前の長期休暇に。
父親による暴力で。
そして、彼女の両親が離婚したのも、彼女の膝が原因だということも聞いた。
オレが呑気にバスケをしている間に、悠紀は一生続く苦しみを味わっていたのだ。
哀しそうな顔を浮かべる彼女に、オレの浮かれた想いなど伝えられるはずもなかった。
彼女の苦しみを思うと、オレは練習に命をかけるほどの勢いで臨めて、より一層強くなれた。
そしてウィンターカップ。
オレたちは誠凛に負けた。