第5章 【今吉】カカオとルージュと
『公園、ですか?』
「そ。公園や」
連れてこられた先は公園だった。
公園といっても、並木道のようなところではなく、遊具があって、子供が遊んでいる方だ。
今もたくさんの子供たちがいる。
『どうして公園に?』
「オススメの場所やゆうたやん。…といっても、ワシのやのうて…『悠紀に』やけどな」
『私に、オススメの場所?』
子供っぽい、って言われてるんだろうか。
無理して『大人のふり』しても無駄だって、遠まわしに牽制されてる?
今吉先輩には全部、バレてたんだ。
そう考えたら少し、目頭が熱くなってきた。
『…ふっ……すみません…』
頑張って耐えようと思ったけど、こらえ切れなかった雫がポロポロと落ちた。