第5章 【今吉】カカオとルージュと
(好きです、今吉先輩)
たったこれだけの言葉が言えずに、自己嫌悪に陥る日々。
私は、また今日も後悔する。
『どうして、言えないんだろう…』
自分でいうのも何だけど、私は結構思ったことをバンバン言っちゃう質。
それでも、この言葉だけはどうしても言えなかった。
『もっと自分に自信が持てれば…言えるようになるのかな。例えば、先輩の好みに近づく、とか?』
でも今吉先輩の好みなんてわからないし、下手に考えててもバレちゃうし…。
女子力をあげれば、少しは魅力的になるかな?
でも高校生の身分で化粧なんてとんでもないし、マニキュアとかもバスケ部のマネージャーをしてる奴がつけるものじゃない。香水もまたしかり。
『とりあえず色付きのリップクリームでも買って帰るか!』
私は、駅近くのショッピングモールに寄って行くことにした。