第2章 【紫原】お菓子よりも甘い
「…あ!そうだ!」
突然閃いたように手を「ポンッ」と叩いた紫原くん。
何をするのかと思いきや、急に私の顔に近づいてきて…
「ちゅっ」
あろうことか、頬にキスをしたのです!
『な、ななな何を!?』
急激に熱くなる右頬を抑えながら、私は聞きました。
「室ちんがね〜?感謝の気持ちはキスで伝えるものだってこの間言ってたんだ〜」
ひ、氷室さん…。
色気たっぷりの先輩を思い浮かべ、私は内心納得しました。
「どう〜?伝わった?」
『はい、それはもう』
私がそう言うと、紫原くんは「良かった〜」と言いながら、無邪気な笑みを浮かべました。
それを見て私は、いつかお菓子よりも甘い関係になれたらいいな…なんて、柄にもないことを考えました。
恋する乙女の特権ということで、許してくださいね、紫原くん。
END