第1章 001...埋まらない穴
「蓮さん、お仕事忙しいでしょう?
休まなくていいんですか?」
『いいんですよ、僕は。
それを言うなら、貴女こそですよ!』
蓮は大手通信会社に勤める会社員。
先日、海外研修から帰国したばかりだ。
一方のさとみは、在宅でデータ入力やライティングの仕事をしている。
「私も今のところは追われてないので。
月末にはまた瀕死状態になると思いますが…。」
『お願いですから、ちゃんと自分を大事にしてくださいね…。』
「蓮さんたら、大袈裟ですよー。」
ふふっと笑いながら、つとめて明るく返す。
元々気遣いの蓮だったが、今ほどではなかった。
(…いつからだっけ、口癖のように心配されるようになったのは。)